2015年1月31日土曜日

KOTATSU IWATA Solo Exhibition "2014 PAINTING WORK"





2015年、最初のBlog更新です。

現在、TEZUKAYAMA GALLERYでは2015年度最初の企画展として、ニューヨーク在住の作家、岩田小龍さんの個展を開催中です。


















岩田さんはTEZUKAYAMA GALLERYでも過去数回にわたり、個展やグループショーなどで紹介してきた作家で、独特でPOPな色使いと、ユニークな制作方法が特徴です。
本展は約2年振となる国内での個展となります。



























今回展示している作品は、岩田さんが活動をされているニューヨークで昨年に発表されたモノが中心となっており、ペインティング作品は全て、国内では初めて紹介する作品ばかりとなっています。
作品のモチーフにはニューヨークの街中で目にした広告や看板、インターネット上から拾った画像データなど、一度デジタル処理をされたイメージから着想を得ています。

































































近年、自身のキャンバス作品に"シルクスリーン"という版画技術を織り混ぜた作品を多く手掛けており、日本の多くの漫画で、仕上げの際に用いられるスクリーントーンというテクニックから着想を得ているようです。

キャンバス上に何層にも何層にも絵具を塗り重ねて作られる下地色やテクスチャと、表層に描かれたイメージとPOPな色使いの対比が面白い岩田さんの作品ですが、今回はシルクスクリーンの均一なパターン柄を加えた事で、画面上の奥行き感や、これまでに無かった質感の対比が生まれています。



本展の会期も折り返しをむかえ、残すところ2週間程となりました。
岩田さんの作品は一見するとPOPな作品ですが、実際に鑑賞する事でしか伝わりきらない「物質感」や「渇いた空気感」といったクールな要素が含まれている様に感じます。

是非、この機会をお見逃し無く。


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岩田 小龍 | Kotatsu Iwata
Solo Exhibition "2014 PAINTING WORK"

会期:2015.01.17 (土) - 02.14 (土)
時間:11:00 - 19:00

http://tezukayama-g.com/exhibitions-current/


2014年12月19日金曜日

大江 慶之 個展『Y アトリエ』

師走の慌ただしい時期にBlogの更新です。

今回は現在、ギャラリーで開催中の大江慶之 個展『Y アトリエ』について書こうかと思います。
(明日が最終日ですが…!)


今回の個展は大江さん自身にとっても約3年ぶりとなる展覧会です。前回をご覧下さった方は勿論、本展を心待ちにされていた方も多いのではないでしょうか。
そして、立体と平面を中心に構成した初のインスタレーション形式での展示となっております。






















































今回、インスタレーションを構成する一部として作品と共に展示されているのは、展示している作品を作り始めるキッカケとなったアイテム、大江さんが制作をしているアトリエから持って来られた道具類、実際に制作に使われたシリコン型や、学生時代から書き溜めたドローイングなど、彼の作品の裏側が垣間見えるような要素が散りばめられています。




































































作品とそれらの要素を交互に行き来しながら見て貰うことで、これ迄とはまた違った視点や尺度で、大江さんの作品を楽しめる内容になっているのではないかと思います。


作品のクオリティの高さも大江さんの作品を楽しむポイントの一つですが、今回の作品はよりその精度が高くなっているのも特徴です。
特に今回の作品にもなっている「鶏頭」、「エイ」、「蝶」という質感や特徴の異なるモチーフを見事に創り分けているところには、驚かれる方が多いように感じます。








































個展のタイトルとメインビジュアルにもなった作品『Y アトリエ』は、他の作品とは少し異なる趣を持った、本展覧会を象徴するような作品になっています。









































敢えて、素材となっているFRP樹脂の地の色味が残った着彩が施されており、各パーツが細かく取り外せるなど、より構造の種明かし的要素や作家の思考が色濃く出ている様に感じます。

これ迄に見に来て下さったお客様の中でも、特に大江さんと同じ作家活動をされている方や、古くから大江さんとお付き合いのある方からの人気が高いのもこちらの作品でした。



会期中に二回、三回とギャラリーに足を運んで下さる方も多く、その都度展示の変化(※本展は大江さんの在廊中に少しずつ内容が変化してます。)に気付いて頂けたり、より作品や制作プロセスについて理解を深めて下さる方が多いので、嬉しく感じます。


展覧会がスタートしてから約1ヶ月になりますが、日を追うごとに、ギャラリー空間に大江さんの思考の痕跡がゆったりと重なっていってるように思います。

そんな展覧会もいよいよ明日が最終日です。
ご都合の宜しい方は明日の夜7時までご覧頂けますので、是非ご来廊下さいませ。



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大江慶之 個展「Y アトリエ」
2014.11.21 Fri - 12.20 Sat

OPEN: 11:00 - 19:00
CLOSED: 日、月、祝

http://tezukayama-g.com/exhibitions-current/

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また、松坂屋名古屋店で開催中の企画展『-現代美術は今-7TYPES×2』、汐留のパークホテル東京で開催中の企画展『冬の動物園』展にて、TEZUKAYAMA GALLERYの作家の作品を展示しております。
会期中にお近くまでお越しになられる際は、是非こちらもご高覧頂ければと思います。


【展覧会情報】

『-現代美術は今-7TYPES×2』@松坂屋名古屋店 南館6階美術画廊
会期:2014年12月17日(火)〜12月23日(火/祝)

国内はもとより海外のアートフェアで日本の現代美術を発信し続ける14人のディレクターが選出した、気鋭の現代アーティスト達の作品を集め展覧いたします。

http://www.matsuzakaya.co.jp/nagoya/garou/

◎出展作家














住吉明子














加藤智大















上原浩子












築山有城











添野郁


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【展覧会情報】

『冬の動物園』展@パークホテル東京(汐留)
会期:2014年12月15日〜2015年3月1日

8人の現代アーティストが、動物をモチーフに制作した個性豊かなアート作品を展覧いたしております。

http://www.parkhoteltokyo.com/

◎出展作家














住吉明子

2014年8月2日土曜日

タムラサトル《真夏の遊園地》@栃木県立美術館

約4ヶ月振りとなるブログ更新です。(更新ペースが遅くてスミマセン。)

先日、ディレクターの松尾と一緒に栃木県立美術館にて現在開催中のタムラサトル展《真夏の遊園地》を観に行ってきました!






















今回は東京在住の作家、加藤智大さんと新藤杏子さんのお二人も同行。

































入口ではタムラさんが何とも言えない表情で出迎えてくれます。


会場に入って、すぐ目に飛び込んで来るのはタムラさんの初期作品にあたる『プロペラの推進力で後退する熊』の作品。














この「熊」と「プロペラ」という全く脈略の無い組み合わせ、十数分おきに凄まじい轟音立てながら後退を繰り返すという、とてつもないインパクト。














こちらは『Weight Sculptures』シリーズ。
モチーフとして使用される金属製の彫刻やプラモデルは全て既製品というレディメイド作品。
それらに精巧な加工を施す(穴を空けてくり抜いたり、分銅をのせるなど)ことで、作家が予め設定した重量になるよう操作し、一定の重さを表示するだけのモノへと作り替えてしまうというコンセプチュアルな作品。













向かいの展示空間には、このシリーズにおける1つの”オチ”とも言える映像作品『100g Man』が巨大スクリーンで映し出されています。映っている男性はタムラさんご本人。


この他にも、今年の1月にTEZUKAYAMA GALLERYでの個展でも発表した『愛マシーン』や新作の『大、中、小マシーン』、豪快な音を立てながら回転する”接点”が取り付けられた『Point of Contact』の作品など、見所満載の展示内容。











































僕はタムラさんの作品を美術館で鑑賞するのは今回初めてだったのですが、またギャラリー空間で展示するのとは違った発見やスケール感で作品を楽しむ事が出来ました。

今回の展覧会タイトルにもなっている《真夏の遊園地》という、それこそ美術ファンだけでなく、若い人からお年寄りまでが視覚的に楽しめる「動く」「光る」「測る」「大きい」といった”分かりやすさ”や”親しみやすさ”がタムラさんの作品の魅力の1つである事を、この展覧会を通して改めて感じれたのと同時に、ユーモアかつ鋭い視点から”既存の価値観・意味に対する疑い”や”そもそも美術とはいったい何か”というシンプルだけど、とても難解な問いを投げ掛けられている様にも感じられました。















こちらの展覧会は栃木県立美術館で9月23日(火・祝)まで開催中です◎
是非とも会期中にご高覧頂ければと思います。

また、今回の展覧会開催に合わせて、今年の1月に弊ギャラリーで開催したタムラサトル個展『愛マシーン』の最終日に行った”タムラサトル × 國府 理 アーティストトークの模様を一部割愛した内容ではありますが、アップ致しました。

多くの美術関係者、美術ファンに惜しまれながら、今年4月にこの世を去られた現代美術家の國府 理さん(享年 44歳)を当時ゲストスピーカーとしてお迎えし、行われたこちらのトークショー。















両作家の作品に纏わる裏話や、同じ”機械”を表現媒体とするようになったキッカケから制作における相違点について語って頂いた、今となっては大変貴重な映像資料です。

宜しければ、是非ご覧下さい。






そしてそして...

TEZUKAYAMA GALLERYでは8月、9月も展覧会を予定しております。

お盆休み明けの8月23日からは、今年で4回目の開催となるワンピース倶楽部関西支部企画展『はじめてかもしれない展 vol.4』がスタート致します。

関西在住のコレクターの方々がこの1年間で購入された作品をそれぞれに展示し、他の方のコレクションと共に一堂に会する非常に面白い企画です。


9月8日からは、今や世界的に再評価を高めている1960年代末〜70年代中期まで続いた日本現代美術の大きな動向”もの派”の中心人物である李 禹煥(リ・ウーファン)と菅 木志雄の版画作品を中心とした弊ギャラリーコレクション展を開催致します。


ぜひ、こちらも会期中にご高覧頂ければと思います。



2014年4月4日金曜日

アートフェア” NEW CITY ART FAIR NY ”を終えて


お久しぶりです。岡田です。
気が付けば、外はすっかり桜が満開です。
日中に観る桜も好きですが、夜桜が僕は好きです。
オススメのスポットがありましたら、ご来廊された際に教えて頂けると嬉しいです。



さてさて、前回は先輩スタッフの内田がロンドンでのARTフェア『ART 14』についてのレポートを書いていたので、今回、僕はニューヨークで開催された『NEW CITY ART FAIR NY』についてレポートしたいと思います。(今回は写真が多くなりそうです。)


今回のNY出張では、TEZUKAYAMA GALLERYは同時期に2つのARTフェアに出展してきました。
1つはSOHOというエリアで開催されていた『VOLTA NY』というフェアで、タムラサトルさんのソロで出展。
こちらのARTフェアの担当はロンドンでのフェアを終えてから、そのままNYに入ったディレクターの松尾とアシスタントディレクターの内田、そして作家のタムラさんが。

そして、今回レポートするもう1つのARTフェア『NEW CITY ART FAIR NY』を僕とRuthの2人が担当させて貰える事になり、ニューヨークへ向かいました。
(僕は初ニューヨーク。。。!)
















会場となったhpgrp GALLERY NYは、川沿いに面した”CHELSEA”というエリアに位置し、このエリア一帯だけで400軒以上ものARTギャラリーが建ち並ぶ、世界的なARTの発信地です。

























今回、このフェアには主催をされているhpgrp GALLERY NY、hpgrp GALLERY TOKYOをはじめとした計10軒の日本のギャラリーが参加しました。(一部ご紹介。)

hpgrp GALLERY NY(New York) 篠原有司男さんの作品



Gallery 点(金沢) 河野迪夫さんの作品など







SAKURADO FINE ARTS(東京) 草間彌生さん、具体、アンフォルメル













GALLERY KOGURE(東京) 山本タカトさん、杉山卓朗さんの作品など
















































今年で3回目の出展となるテヅカヤマからは築山有城さん、大江慶之さん、同時期に『VOLTA NY』にも出展していたタムラサトルさん。そして、ニューヨーク在住の岩田小龍さんを加えた4名のアーティストを紹介して来ました。















築山有城”究無-Cube-”





















マテリアルが持つポテンシャルに目を向け、隠れた側面を引き出し”作品”へと昇華させるアーティスト、築山有城さん。
築山さんの作品は今回初めてNew Yorkのフェアで紹介しましたが、初見で作品に用いられている素材に気付かれる方は殆どおらず、こちらから説明すると驚かれていたのが印象的でした。



大江慶之”Flower Head #02”





















大江慶之さんの作品は昨年も1点ご紹介しましたが、今回はこちらの"Flower Head #02"と" 持ち主"という作品の2点を紹介してきました。
精巧な造りの裏に様々な感情や思いを忍ばせる大江さんの作品はNYのお客様からの反応も良く、作品について事細かに質問されてくる方が多かった様に感じました。



タムラサトル”Point of contactシリーズ” 





















タムラサトルさんの作品はお客様の反応が一番ストレートに返って来て、かなり受けが良かったという印象。
今回、SOHOで同時期に開催されていた『VOLTA NY』にも出展していた為、両方のフェアを観て回って下さったお客様も多かったです。
クールな作品のビジュアルとクレバーかつシンプルなコンセプトも、ニューヨークのARTファンの心をガッチリと掴んでいた印象。
また、他の出展作品と比べても、作品自体に動きや変化といった要素を多く含むタムラさんの作品は、会場内でも一際注目を集めていた様に感じます。


岩田小龍”広告や新聞などのイメージをモチーフにしたペインティング”

















岩田小龍さんは今回のフェアに向けて、新たに制作されていたペインティングを出展して頂きました。
鮮やかな色彩と独特の画面の作り方に興味を持たれているお客様が多かったです。
特に今回紹介した作品はどれもモチーフのセレクトがユニークで、作品のコンセプトについて聞いて来られる方も多かったです。



初日のレセプションパーティーでは会場にお越し下さった現地のお客様に日本酒を振る舞うという”おもてなし”を。












































レセプションパーティーには身動きが取れなくなる程、沢山のお客様がお越し下さり、現地のARTファンの日本のコンテンポラリーアートに対する関心の高さをヒシヒシと感じました。
また、日頃からARTに触れる習慣があるからなのか作品について鋭い質問をされる方、お客様同士で作品の感想を言い合ったり、良い作品に対してはストレートな反応を示される方が多い様に思いました。

会場ではNY在住のアーティストによるパフォーマンスが行われたり、TOMIO KOYAMA GALLERYからソロで出展されていた三宅信太郎さんのLIVEドローイングが行われたりと終始賑やかな雰囲気でした。



















フェア自体の会期は4日間でしたが、搬入〜搬出を含めニューヨークに滞在したこの一週間は本当に刺激的で、新たな目標が見えた掛け替えの無い時間だったと思います。
僕個人としては手応えよりも課題や修正点の方が多く、ここで得た経験をしっかりと噛み砕いて、次にどう繋げていくかを考えながら、今後のTEZUKAYAMA GALLERYでの仕事に活かせる様にしたいです。





















今回のフェアに関わって下さったhpgrp GALLERY TOKYOの戸塚さん、山本さんをはじめ、現地でサポートをして下さったスタッフの皆さん、出展されていたギャラリーの方々、出展にご協力を頂いた4名の作家さん(岩田さんは搬入、搬出も最後まで手伝って下さり、本当に色々な面で助けて頂きました。)、そして、この様な経験をさせてくれたディレクターの松尾と先輩スタッフの内田、Ruthにも感謝をしております。ありがとうございましたー!






話は変わって、告知を少々。
現在TEZUKAYAMA GALLERYでは小池一馬 個展『NEUTRAL PALM SQUAREを開催しております。
本展覧会は作家自身、初の大阪での個展となります。これまで東京、香港を中心として作品を精力的に発表してきた小池さんですが、今回の大阪での個展も初日から多くの方にご来廊頂き、ご好評頂いております。
会期もまだまだありますので、まだご覧になられていらっしゃらない方は是非、この機会にご高覧頂ければと思います。

また、こちらの展覧会のレポートも追ってこちらにアップさせて頂きます。



























小池 一馬 個展『NEUTRAL PALM SQUARE』
期間:2014年3月28日(金) - 4月26日(土)
休廊日:日、月
時間:11:00-19:00 

http://tezukayama-g.com/exhibitions-current/


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この度テヅカヤマギャラリーでは、小池一馬による個展「Neutral Palm Square」を開催する運びとなりました。これまで東京や香港などで個展での発表をしてまいりましたが、大阪では初となります。

1980年生れの小池は、幼少のころから両親の仕事の関係でアルゼンチンやスペインなど海外での生活を送ってきました。その影響もあってか、小池の着眼は我々が海外のアーティストに対して受ける印象と何か通じるものがあります。容易に理解しがたいようにも見えますが、難解というよりも観る者の想像力を掻き立て、誰もがあたかも自分の夢の中で見たような、あるいはどこかで読んだ本の中のストーリーにあったようなごく身近いものにも感じながら画面を読み解くことが出来ます。しかしその先にある小池の意図を読み取ろうとすると、これまた想像力を要する。それ故に興味がさらに深まる。

近年、小池はペインティング、水彩、彫刻などの自身の作品を、壺や水の入ったペットボトルなど既存のモノと一緒に空間に配置する方法で発表を行っています。既存のモノと作品を同等にモノとして扱い、それらを慎重に配置することによって、空間に無数の見えない線を張りたいと小池は言います。

今展覧会はこれまで以上に"モノとモノの関係"を意識した展示をめざし、それによって空間に生み出される緊張感や繋がりが、鑑賞者の想像力を刺激することでしょう。



作家制作メモ
「例えばちょっと南国へ旅行に行くとする。
ホテルでチェックインをすませ、荷物を部屋に置いて、地図も持たずに夕食まで散歩に出かける。
心地良い風が、南国らしい植物を揺らしている。ぷらぷらと歩いていると、椰子の木がある広場でウェイトリフティングをする男、英雄らしき男のポスター、何か信仰の対象らしき社などが目の前を通り過ぎて行く。

ふと、道路を挟んだ向こう側に見える樹の上に咲いている花が目に飛び込んでくる。“あの花はあの樹が咲かせている花なのか?それとも寄生している植物の花なのか?”という疑問が頭をよぎる。今自分が立っているところからは、ぼんやりして確認できない。しかし、道路を渡って確認することなく、そのままホテルへ戻る。」



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